最近、楽しみにしていることがあります!
設計・監理を依頼していただき、去年の4月に竣工した住宅があるのですが、もうすぐ引渡から1年になるのです。スバル設計では、監理まで携わった建物に対して、1年検査を行うこととしています。(もちろん、施主の了解のもとですが)検査では、施主さんが引渡から1年住んでいただいて、良かったことや、もう少し工夫する余地があったこと等をヒアリングします。また、万が一にも瑕疵(欠陥)が無かったかの確認や、建物の使用状況を確認させていただいて、「こうした使い方をした方が、住宅が長持ちしますよ」等のアドバイスをさせていただいたりもします。
そして何より、設計から工事まで一緒に試行錯誤をしたり、たわいも無い世間話をさせていただいたりした施主さんと、久しぶりに話が出来る楽しみもあります。(この住宅は事務所の近くなので、竣工後も何回かお伺いしましたが(笑))
施主は気さくな方で、いろいろなお話を聞かせていただきました。設計内容について、要望を聞かせていただきつつ、こちらからの提案も行う中で、僕自身も多くの気付きがありました。そんな思い入れ深い住宅でもありますので、その一部を紹介しようと思います。
さかのぼること2年半。広い敷地には、施主さんの旧住宅が建っておりました。改修するにも、そもそも昔ながらの住宅で広すぎるので、小さく集約した新築を計画したいとの要望でした。撤去後には敷地の広さが更に際立ちます。既存の住宅も、施主さんにとっても思い出が多い建物です。少しでも形として残したいとの思いから、屋根瓦を保管して新築外構に利用する計画としました。
旧住宅の様子 撤去後の様子
この瓦を・・ 丁寧に取り外し
〇工事が始まれば、現場は大忙しです。現場監督がまた優秀な方で、
大きなアクシデントも無く完成させることが出来ました。
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→ → 完成!
〇内部には木をふんだんに使用した温かみのある内装としました。
リビングは全面木材で、木の良い香りがします。
ですが、メンテナンスの難しい場所はメリハリを付けて市販建材を使用しています。
リビング 和室から
南向きの窓から日が差し込む 水廻りは耐久性の高い壁紙を使用
〇勾配屋根で出来る屋根下空間は、広いロフトを確保して空間を有効活用しました。
この部分の束と根太、合板(床下地)は通常の倍以上としています。
荷物いっぱいでも安心の強度設計です。
木製はしご 広い収納スペース
〇窓際にはカーテンでは無く、障子を設けました。落ち着いた空間となりました。
夏には日の光を和らげ、冬には冷気を遮断します。
また、障子は壁に引き込める設計として、窓からの眺めを邪魔しません。
(写真は障子を外しているのでは無く、両袖の壁に引き込んでいます)
柔らかな光が入る 閉じた状態 フルオープン!
〇リビングと他の室は、木製建具で仕切っています。
これも引き込み式として、個室としても使えますし、友人が集まった際には大広間にもなります。
リビングから 左が洋室、右が和室 更に広がります
〇風呂は、当初木の湯船の要望もありましたが、メンテナンスや、
施主さんの生活スタイル(この家に居ない日も多い)も考慮しユニットバスになりました。
しかし敷地に接近した家も無く、窓からの眺めは最高です。これは是非取り込みたいと、あえての透明ガラスです。
ここから夜空を眺めたい!(笑)
一見普通の浴室 浴室用ブラインドを開くと・・・ 絶景が望める
〇小型の薪ストーブも、施主さんの強い要望から実現しました。
煙突周囲の壁は、耐熱性の観点からタイルとしました。
これが丁度良い玄関のアクセントとなっています。
オシャレな薪ストーブ 近くで見るとかわいい形
木とタイルが程よいバランス 照明は施主さん支給の船舶用ランプ
〇外部には広いウッドデッキを作っています。開放性抜群です。
また、敷地斜面に保護ネットと芝の種を蒔いたりと、遊び心満載です。
旧住宅の瓦は、取り置きした約200枚を有効利用しました。
屋根付きウッドデッキ 芝生(予定)
旧住宅の瓦を縁石として再利用 瓦以外も旧住宅の名残品 敷地には畑も残る(手前は植え込み)
いかがでしょうか。施主さん、工事業者さんと共に知恵を出し合いながら、とても良い住宅が出来ました!ですが、是に甘んじること無く、1年検査の際には実際に住んでみての率直な感想等をお伺いしたいと思います。そして、これから住み続けていただく中で、更に住み心地の良い家にして行けるようなアイデアを、施主さんと一緒に考えたいと思います。
完成前南側から 大容量の倉庫も併設 これからも末永く
by K.Fujikawa